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タイ山岳少数民族の現状

山岳少数民族

 タイはアジアの中で、ビルマ、ラオス、中国、カンボジア、マレーシアなどの国と国境を接する国であり、タイ民族をはじめ、様々な民族から構成されています。少数民族としては、ミィエン(ヤオ)族、アカ族、ラフ族、リス族、モン族、カレン族などが暮らしています。これらの民族の多くは、もともとチベットから中国の雲南地方にかけて居住していましたが、およそ100年前から、政治的、または多民族との対立の問題から、ビルマ、ラオスを経由してタイ国内へと移住してきました。

麻薬・売春・価値観の変化

 こうした経験を経て、30から50年前から現在に至るまで、少数民族は居住地、国籍、さらに麻薬、売春、などの多くの問題を抱えてきました。この数年における少数民族社会の変化はより厳しく、自給的な農業が出来なくなり、貧困、教育の問題は依然として存在し、また新しく移住してきた人々も加わり、村々で新たな問題が起きています。それらには、1)エイズ、2)麻薬、3)環境問題、4)価値観の変化などがあげられます。共同体で助け合い、自給自足の暮らしが成り立っていた昔から、現代では生活のすべてに「お金」が必要不可欠となり、テレビ、車等が豊かさの象徴とされ、村の連帯が薄れてきました。そして現金収入を得るために都会に働きに出て村に戻ってきた人々は、価値観が変わり、村の生活を営むことが難しくなっています。彼らは借金をしてまでも便利さや快適さを求め、その返済のために児童労働や麻薬といった問題を生み出しています。幼い、または就学していた子どもたちが、都会に働きに行き、それらの知識の無いままにエイズや麻薬の問題をより大きく、また悪循環させています。

NGOプロジェクト

 こうした状況を鑑み、山岳民族の女性や子ども、若者たちの問題が表面化してきた1996年、彼等を売春や労働力の搾取などの被害をはじめとした問題から守るため、タイのNGO「高地民教育及び開発財団」のプロジェクトとして「女性・子ども・青少年開発センター」が設立されました。当初は教育の道を開くための地域保育センターとしての活動を中心に行っていましたが、経済的に貧しい山岳民族の子どもたちを、より積極的支援するため、2000年5月、「夢の家」生徒寮が設立されました。

 寮の建設は、プロジェクトの代表であり、山岳民族でもあるアリヤ氏が自費で行い、寮費として保護者より年間1500バーツ(約5000円)の現金、または相当分の米等にて運営されています。しかし、子ども一人を一年間支援するには日本円で約1万円程度がさらに必要とされます。様々な個人や団体から食費や奨学金の支援を受けつつ運営していますが、今ではそれも無い状態です。現在20人弱の子どもたちが寮で生活していますが、入寮を希望する子どもたちは増大しており、資金の問題からやむなく断っているという状況になっています。


参照ページ:Fc Companyフェアトレードプロジェクト

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