「ガリラヤのシンディアナ」は、パレスチナ北部のガリラヤ地方(1948年からイスラエル)、マジダル・クルム村と周辺の村々における非営利団体であり、高品質な無農薬栽培オリーブオイルを生産し国内外に販売しています。1996年に、アル=バカー・センター(後述)の農業部門として発足し、その後、一つの組織として独立しました。農家がオリーブ栽培を発展させること、生産意欲と収入を高めることを支援しています。2003年、IFAT(国際オルタナティブ・トレード組織連盟)へ加盟しました。
また、ナーブルス(ヨルダン川西岸地区)で作られている高品質のオリーブ石けんやジェニーン(ヨルダン川西岸地区)のザータルを海外に紹介、販売してパレスチナ自治区の産業も支援しています。
1.「ガリラヤのシンディアナ」の活動
- 農業活動として、以下のことが中心に行われています。
- 農家に対し、オリーブオイルの質を高めるための栽培・収穫・保管の技術を指導する
- オリーブの買い入れと市場提供、市場開拓。(農家に地元と海外での新しい市場への途を 提供し、正当かつ十分な利益を目標に販売していく)
- 低価格でオリーブの苗木を配付する。
- オリーブの苗木の植樹、そのための荒れ地の整地などを年に2回以上ボランティア活動で行なう。
- 大型農業器具(荒れ地整備用など)の貸し出し。
2.構成メンバー
- オリーブ生産契約農家
- ガリラヤの村のパレスチナ人女性たち(オリーブオイルのボトル詰めなど)
- ユダヤ人とパレスチナ人の平和活動家(運営スタッフ)
- オリーブオイル圧搾工場
シンディアナの方針を決める「シンディアナ運営委員会」は、毎年、構成メンバーの中から選挙で5人選ばれています。この他、農業専門家、ボランティアスタッフなど複数の人たちが協力して活動が行われています。
3.効果
- 高品質なオリーブオイルづくりの広がり
- すべての契約農家は、オリーブの質を高めるための栽培方法を採用しています。「シンディアナ」が高品質なオリーブオイルの安定的な買い入れのパートナーになりました。「シンディアナ」のスタッフも、内外のオリーブオイルの専門家によるセミナーに参加するなど高品質のオイルをつくっていくためにさらに勉強を続けています。
- マーケティング
- 「シンディアナ」の設立は、イスラエル企業に独占されている市場にパレスチナ農民のオリーブオイルを販売する道を開きました。「シンディアナ」は20トン弱のオリーブオイルを供給・販売してきましたが、その半分以上を国内市場で販売し、海外にはドイツと日本(パレスチナ・オリーブ)にのみ継続的に販売していました。しかし、近年、上述のようにイスラエル市場での販売がますます困難になったため、カナダ・オランダ・イタリアなど海外へフェアトレードでの輸出を広げています。
- 女性のエンパワーメント
- オリーブ倉庫で働いている女性たちは、ボトル詰めを行なうだけでなく、月に1回はミーティングを持ち、オイルや仕事の質、シンディアナの計画、問題点、達成点などを話し合い、生産過程にかかわっています。これは、女性に安定的な職を作りだすだけでなく、結婚後もアラブ・パレスチナ女性が働く事ができるのだ、ということを示す点でも意味があります。
- このほか、収穫や苗木の植樹のときにユース・ボランティア(パレスチナ人、ユダヤ人、外国人)が協力したり、と複合的な活動を行い、地域に刺激を与えています。
本文、写真:パレスチナオリーブホームページより
Fair Trade for a Fair Society