Yvonne Bezerra de Mello 著
宮川 智恵子 訳
1993年7月23日未明、リオデジャネイロの中心街でおこったストリートチルドレン殺害事件を覚えていますか。リオの観光スポットのひとつ、カンデラリア教会前広場の路上で眠りこんでいた無防備な70人前後の子どもたちが銃撃され、8人が殺された事件です。
「リオの路上から イボネと子供たち」はこの事件の第一報を、殺害からまぬがれた子どもたちから直接受けて、現場にかけつけたイボネ・ベゼラ・デ・メーロさんが書いた本です。
子どもたちは警察を信用せず、ひごろから親身になって世話をしてくれていたチア・イボネ(イボネおばさん)を頼ってきました。
イボネは、さまざまな脅しに屈することなく、この事件を世界中のメディアに発信し、軍事警察官らによる路上の子どもの殺害を告発し、裁判にもち込むきっかけを作りました。同時にこの事件の背後にある貧困、暴力、やっかいな問題に目をつぶろうとする社会の無関心を告発し続けています。
この本でイボネは、実業家の妻であり、3人の子どもの母であり、彫刻家でありながら、自分の属する富裕層の垣根を飛びこえ、いちばん貧しく、社会、コミュニティー(ブラジルでファベーラとよばれているスラム)、そして家族からさえ見捨てられた路上暮らしの子どもたちに寄り添い、日々闘うようすを生き生きと語っています。月曜から金曜まで毎日朝食を運び、傷の手当てをし、読み書きを教え、子どもたちのいろいろな相談にのるのです。 救援活動をしながら子どもたちといっしょに笑い、泣き、怒るイボネの姿、そして子どもたち自身のことばに注目してください。
この本は、
なぜ、子どもたちは路上暮らしをしているのか?
なぜ、子どもたちは殺されてしまうのか?
なぜ、資源に恵まれたブラジルでこれほどの貧困が存在するのか?
という多くの「なぜ?」に答えてくれるでしょう。
それと同時に、いじめによる自殺や、公式数字で13万人もの不登校、子どもをとりまく暴力の増加という日本の現実を前にして、「やっかいな問題に目をつぶってはだめ」というイボネのメッセージに励まされることでしょう。
https://home.catv.ne.jp/kk/riokids/
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