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フリートレードとその問題点 第三世界に関する問題と、その周辺事情を改めて考えてみると、大きな二つの問題点が明らかになってくる。一つは、現在第一世界と呼ばれる国々のODA(政府開発援助)による第三世界の開発による債務と、それによる貧困問題。もう一つは多国籍企業によって支配された自由貿易に関する問題である。どちらの問題も歴史的な背景として、ヨーロッパ諸国が植民地時代に築き上げた南北間の支配関係がベースになっている。又、その構造は第一世界に利益をもたらすシステムを採ることが多い。 フェアトレード(オルタナティブ・トレード) 現在フェアトレード商品を扱う団体は、第三世界の飢餓、災害救済の為のチャリティーとして活動をスタートさせたものが多く、その性質上、宗教的な背景を持った団体が多い。最も有名なイギリスのオクスファムは、第二次大戦中に飢餓救済の為の募金集めをした事からその活動をスタートさせたキリスト教系の団体であるが、次第に活動目的をチャリティーから公平貿易(フェアトレード)へと転換してきた。チャリティーからフェアトレードに移行する理由としては、第三世界と第一世界のより対等な関係を築く事と、継続的な貿易を通して第三世界の生産者の経済的自立を促すことなどが挙げられる。また、UNCTAD(国際連合貿易開発会議)で第三世界の生産者の側から「援助ではなく、貿易を」と提案された背景などがある。しかし、フェアトレード自体の歴史はまだ短く、生産者の事情も地域により差がある為、フェアトレードとして一律の基準を設ける事は難しい。又、時により「援助」と「フェアトレード」の間に線を引くことが難しい場合もある。その様な状況の中で各団体での試行錯誤が続けられている。 フェアトレードの今後の課題フェアトレードで扱う製品には一次産品と手工芸品の二種類がある。しかし、一次産品について考える時、一体貿易自体が世の中に必要なのかどうかという根本的な疑問にぶつかることがある。第三世界の生産者は換金作物を作る替わりに自分達の食料を生産し、資源を保護するべきというだという考えを持つ人は多い。実際、第三世界の肥沃な土地の多くは換金作物生産のために使われ、第三世界は第一世界から食料を輸入している。これに対してマイケル・バラット・ブラウンは彼の著書「フェアトレード」の中で「北と南の相互交流から、両方にとって本当に利益になることもでてくるのである。第三世界の生産物が依存する市場の多くは第一世界の中だけにあり、第三世界が必要とする設備の多くは第一世界にしかない。第三世界の組織が世界市場に参入しなければならないと考えたなら、第一世界の人間が「ノー」と言うのはおそらくお門違いで、私たちはむしろ第三世界が貿易を多様化し、貿易に対する管理能力を高め、交渉力を高められるように手助けをするのが筋である。」と述べている。 今私たちに出来ること―グリーン・コンシューマリズム 全世界の五分の一の人口を抱える第一世界が地球全体の資源の三分の二を消費し、残りの五分の四の人々は第三世界に住み、第一世界に対する債務を返済する為に熱帯雨林を切り倒し、輸出肉用の家畜を育て、換金作物を植えている。世界中至る所で経済成長の為に環境破壊が進んでいる。西ヨーロッパと北アメリカでは「緑の党」が票を伸ばし、地球の友、グリーンピース、WWFのような団体は日々環境を守る為の活動を続けている。これら、消費者の側の働きかけによって第一世界の殆どの国の政府は環境について何らかの対策を示してきている。経済性のみを重視し、食料を工業製品と同様に扱う多国籍企業の環境破壊、これらの企業によって操られる消費者心理。しかし、私達は同時に市場において一番力を持った消費者である事も忘れてはならない。私達はそれらの背景を持った製品を受け入れる事も出来れば拒否する事も出来るからである。フェアトレードのような草の根の活動(小規模プロジェクト)は政府による巨大プロジェクトには出来ない有効で効果的な活動の可能性を持っているのである。
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